基本資料
理事長所信
- 一般社団法人旭川青年会議所
2016年度 第66代理事長 - 石川 泰路
- 一般社団法人旭川青年会議所
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- 2016年度スローガン
Next Stage on the Dreamers
〜五年後の未来を描き、踏み出す青年達〜
- 2016年度スローガン
─みなさん《旭川》は好きですか。この地域の未来を描けていますか。─
私は当然ながら「好きだ」と答えます。そして青年会議所の会員として「明るい豊かな社会」を創造し行動することは、既に心に未来を描き、前へ踏み出しているということなのです。
私たちはなぜ、自分ではない誰かのため、地域のために歩み続けるのでしょうか。それは《旭川》とそこに住む人々のことが好きだからなのです。
はじめに
2010年度に策定された2010年代運動指針である旭川JC宣言「夢ビジョン2010」。本年は、いよいよ2010年代後半に向けてスタートの年となります。宣言の中に『豊かさの探求によるわがまち・あさひかわの発展』を掲げる。という一文がありますが、豊かさの探求とはどのようなことなのでしょうか。
豊かさとは心が満たされること
旭川青年会議所誕生から本年に至る66年間の日本という国の歴史を振り返れば、様々な時代で様々な変化があり、国難のたびに進化を繰り返してきました。
戦後の日本を生きた先人たちは、戦前の状態への復興が50年かかると考えられていた絶望的な混乱状態から、東海道新幹線開通、東京オリンピック開催など、国民全体の夢であった「経済的に豊かになる」ことに向かって一丸となって取り組み、15年余りで世界第二位の経済大国まで昇りつめました。
私たちは、何も無かった状態から豊かな経済を創り上げてきた先人たちに感謝をしつつも、いつの日からか平和でモノや金が満たされた豊かな日常が当たり前となり、その代償として満たされない心だけが残り、個より集団を重んじる和の文化が薄れてきてしまいました。そして、バブルがとうに弾け、失われた20年を経て、明日の経済が不安な昨今、いまの日本に夢は描けているのでしょうか?
2011年3月11日の東日本大震災では、現実とは思えない目を覆うような光景が、テレビやインターネットで報道され、被災地の方だけでなく、国民全体が昨今の不安な経済環境に、追い打ちをかけたような危機を、心に深く抱いたことでしょう。しかしながら多くの国民は、無性に何かできることを探したのではないでしょうか。そして、募金、支援物資、被災地でのボランティア活動など、実際に行動に移しました。その行動の根幹には、何か見返りが欲しかったわけではなく、単純に困っている人を助けたい。被災地の方々に対して、少しでも役に立ちたいという気持ちがあったからなのではないでしょうか。
心あるまちづくりが地域を創る
心を満たすのは、「人と人とのつながりでしか無い」私はそう思う。忘れかけていた私たち日本人としての「心」ある行動は、持続可能な地域社会を考える上でも重要なことの一つです。
多くの国民が衝撃を受けたであろう、消滅可能性都市の報告の中には、残念ながらわがまち《旭川》の名前も入っています。人口減少や少子高齢化が進む中で、地域の経済や振興のことを考える前に、そこに住む人々のことを考えなければなりません。地域の魅力とは、そこで生まれ、そこで育ち、様々な出会いと別れの中ある、共に成長してきた人々の記憶の集積なのです。自分たちが生まれる前からあり、これからも続いていく心のよりどころ、それがふるさとであり郷土愛なのではないでしょうか。
つまり豊かさの探求とは、経済的な豊かさ、物質的な豊かさに加え、精神的な豊かさを探求することであり、我々が今後2020年に向けて目指すべき後半の5年は、この地域が明るい笑顔であふれた「心」あるまちづくりを目指すことであります。夢づくり、ひとづくり、地域づくりのリーダーとして、私たちが抱いた「心」あるまちづくりを地域に伝播することで、そこに暮らす人々がふるさとを愛し、明日への希望を持ち続けることができる、魅力あふれる地域へとつながるのです。
2010年代前半で様々に思い描いてきた「夢」は「かたち」となり、2020年に向けて「現実」のものにするべく、本年は大きく分けて3つの事案について、今後の方向性を指し示すスタートの一年とします。
北海道地区大会に向けて
北海道地区協議会の集大成の場である、北海道地区大会。2014年度に実に26年ぶりの実施に向けて主幹立候補をし、残念ながら夢叶う結果はなりませんでしたが、メンバー一人ひとりが「心」を持った行動を実感したのではないでしょうか。
2007年度から3年間、北海道地区大会誘致に向けて行われた検討会議。当時を知るメンバーは既にほとんどおらず、私自身も2009年度新会員の際、1年だけ参加したのみです。本年は北海道地区大会主幹立候補に向けて改めて検討して行きます。もちろん地区大会誘致ありきではなく、地区大会を通じてLOMや地域にどのような効果をもたらすかを慎重に議論を交わさなければなりません。
北海道地区大会は、開催地の実情や青少年育成、夢のかたちなどを全道の青年会議所メンバーや多くの市民へ伝えることができる機会でもあります。多種多様なまちづくり団体がある中で、全道全国へ広いネットワークと友情がある青年会議所の特徴を活かし、まちづくりや地域づくりを進めるツールとして北海道地区大会の実施は、身近でかつ効果的な場所であると考えます。2010年代後半に向けて、26年分の歴史を背負って、私たちが抱いてきた夢のかたちを現実のものにするべく検討して行きます。
市民一人ひとりが主体性を持った地域づくり
小さい頃、親に連れられて行った提灯と的屋が並ぶ夏のまつり、友達と鼻水を垂らしながら夕暮れまで遊んだ冬のまつり、恋人と浴衣で行った花火大会。大切な人とのかけがえのない思い出の片隅には、まつりに行ったという記憶が共にあるのではないでしょうか。
まつりは、地域振興や経済活性化、世代間の交流や郷土愛を育む場など、様々な可能性を秘めており、地域の「生きる力」がたくさん詰まっている場所です。見に行くだけで楽しく、参加して心がもっと高揚し、地域社会に生きる中で人と人とのつながりに歓喜し、力強いふるさとの姿に感動する場所であり続けなければなりません。
烈夏七夕まつりが旭川開基100年に誕生し、はや四半世紀。「旭川の顔になる新しい夏まつりを百年後に伝えよう」という創始の想いをリレーし、様々なコンセプトで行ってきました。2010年代後半に向けて、より市民が主体性を持って行える事業にするべく、創始の想いを市民参加団体と共有し、計画を進めます。また、旭川冬まつり支援事業の形として、昨年は青少年育成をテーマに旭川市内の青少年をターゲットに行いました。結果、大変好評を頂いたことから、青年会議所の支援の形が見えてきたと考えています。本年は、旭川冬まつり実行委員会と、コンセプトや意識のさらなる共有を図り、一体となって観光促進を行いたいと考えます。
市民の中には、もちろん青少年も入ります。私たちができる青少年育成の本質は何でしょうか。それは「主体性を持った子どもを育成する」ことです。私たちが、自分たちではなく、誰かのために、地域のために率先して行動することと同じように、誰かのために、地域のために活躍する子どもから次代を担うリーダーが誕生するのです。
ファンづくりから共感のコミュニケーションへ
どんなに素晴らしい事業や活動を行っていても、市民や地域から共感を得られなければ運動とはいえません。私たちが描いてきた夢を現実のものとするためには、対外への発信力を強化し、地域社会においての存在価値を高め、認知度を向上させる必要があります。また、市民の方々が私たちの運動を自分ごととして認識し、体験できる環境づくりが大切です。
「明るい豊かな社会の創造」という大きな思想へ向かう一歩は、自分たちの隣にいる、一番身近な人と手を取り合うことからはじまります。そこから共感の輪を生み、共感のコミュニケーションは強い組織をつくり、地域に必要とされる運動へとつながります。
多様な価値観がある現代のグローバル社会において、運動の共感を得るために、私たち自身も時代の変化へ柔軟に対応し、率先して行動をし続けなければなりません。継続から進化へ、ローカルからグローバルへ、発信から相互理解へ、発想から挑戦へ、伝播から体験へ、そして自分から誰かのために、地域のために。様々な場面で前向きに広い視野で、高みを目指して行動へと移して行きます。
終わりに
私の人生理念は、「至誠(何時でも誠実な心で)」「感謝(感謝の気持ちを忘れずに)」「責任(自分の言行に責任を持ち)」「向上(常に高みを目指していくこと)」であります。こういう自分でいたいな。ああいう自分になりたいな。そんな思いに対して、ただ単純に素直でまっすぐ向き合って生きてきました。
ありたい自分になれる「道」なんてありません。そこにある「道」は、既に誰かが歩んだ「道」でしか過ぎないからです。遠くに自身の理想があるならば、目を逸らさず、遠回りせず、まっすぐ向き合って、道なき道を突き進むべきだと考えています。前向きに生きることは、決して平坦で楽な足場では無いのです。
私は人生の選択に迫られた時、とにかく前向きな選択をして行こうと考えています。人生の選択肢にできるかできないかなんて選択肢は存在しません。それは結果論でしか過ぎないからです。常に挑むか逃げるかの二択の連続です。青年会議所は機会の選択の連続であり、様々なステージが用意されている挑戦の場であります。
人は目指すべき信念がなければ歩みを止めてしまいます。みなさんは、理想の自分にどんな像を描きますか。そこへ向かう通過点として青年会議所をどのように活用していくか、一緒に考えて行きませんか。40歳までという限られた時間の中で、今という時間に生きがいや楽しさ、ときめきを感じ、感動を分かち合い、未来を描きながら、共に歩みを進めて行きましょう。
─自分ではない誰かのため、地域のために夢を描き、次のステージへ─